免許を取得してから、初めての相棒は117coupeと言うFR車。
教習所のルーチェしか知らない若者にとって、それは力が張り続ける夢のような車であった。
免許取得前から、悪い先輩に連れて行かれていた箱根。
週末には決まって国道1号〜ターンパイクを見学。
車を欲する気持は日ごとに高まり、高校1年の時からガソリンスタンドで毎日毎日アルバイト。
そして、免許取得と同時に中古で購入したのが、この117coupe。
お決まりの車高短、ストレートマフラー仕様にして調子に乗るも、
山に行って車を横に向けても、直線で十数秒間誰かと競争しても、直ぐに飽きてしまう。
そんな時、友人の誘いでFISCOに行く機会があった...興奮した。
当然の事ながら、全然ついていけない。
単純で思い込みの激しいその若者は、その日FISCOで最も速かった車種を購入する。
「Fairlady Z」
車の外観、歴史、そして人気など全く考慮せず、単に速いから購入した。
117coupeは即売却。
購入後FISCOで走り込み、その間にZは進化を続け、恐らく操る人間の能力も少なからず上昇していた。
最終的には数台のZを乗継ぎ、某ショップでTuneしたEngineは、400馬力+αは出ていたと記憶する。
そんな車に没頭する青春を過していると、自然と耳や目から様々な情報が入ってくる。
「東名」〜「湾岸」、「最高速」...そんな言葉は少し気になったくらいで、
所詮ストリートLevelでの話と放念していた。
「ただアクセルを踏んでいればいいんだろ!」
忘れもしない、ともかく金曜の夜の話。
用事は忘れたが、友人のZと共に第三京浜の保土ヶ谷PAに立ち寄った。
ある程度は、雑誌からの知識で理解していたが、
まさかこれほど迄に「最高速」と言うStageがHeatしているとは..と心底驚いたのを記憶している。
次々に集まる誓し言葉も忘れ魅入り、その後実際に湾岸をゆっくりと流して見る事にした。
その時の自分を思い出すと、若くしてZに乗り、有頂天になっている1人の若者であった。
前方に同じ雰囲気を醸し出す丸テールを発見する。
「ただアクセルを踏んでいれば良いんだろ?」
直ぐに追跡、200km/h内外で追いつき抜き去る。
「あんなもん、雰囲気が楽しいんだろうな..」
そんな連中を何台も相手にしては、最高速のLevelを手定規で計っていた。
それなりに速い車もいたが、根性でどうにかなった。
事故の怖さも命の重たさも知らない、知ろうともしない若僧のZ乗り。
様々な車を追い掛け何回か料金所を通り過ぎ、気づいたら習志野と言う場所まで来ていた。
友人によると、この辺りのファミレスに多数の最高速車が集まるらしい。
完全に調子に乗るその若僧は、見物気分でファミレスに乗り込む。
確かにそれらしい改造車は多くいた。
そして皆で輪になって立ち話をしている。
一番速そうなグループを覚え側に寄ってみる。
車を見るふりをして側耳を立てる。
どうやら、千鳥町のP.A.で集まるらしい。
すぐさまZに乗り込み、先回りをする事にした。
料金を支払い横浜方面に車首を向ける。
ほんの数キロでカーブに差し掛かるが、まだ先程の連中は来ないだろうと、最左車線をゆっくりと流す。
最初のコーナーに入ろうとゆっくりと片手で操舵した時、・・・・・空気が・・・揺れた・・・・?
見やすいZの右ドアミラーに映る無数の点、点、点・・・・が、一挙に近くなる?!!!!
信じられない光景、いや「映像」だった・・・。
息が止まり、ステアリングを持つ手が震える。
早送りのような「映像」と「音」と「車の動き」。
そのカーブを一体何キロで曲がっているのか・・・。
想像もつかなかった。
先頭の何台かは、路肩まで乗り入れて、暴れる鉄の塊を制御している。
気づいたら2速まで落とし、加速していた。3速、4速。ひたすらアクセルを床まで踏みこむ。
赤い小さな夜光虫達は、ただただ、嘲笑うかのように小さくなっていった。。。
その後、市川P.A.にたどり着いて始めて知る事になる。
当時湾岸最高速で「最速の集団」と言われていたそのTeamを。
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