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=第一夜 四章= 【気の遠くなるあの直線へ】 |
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≪24:47 大黒PA≫
大黒PAは最高速ステージに上がるものにとっては非常に重要な拠点となる。
千葉方面からのU-Turn、湾岸線への出立地、そして何よりも車好きが集まる場所。
「車好き」
この点に於いて大黒に集まる人々の認識は一致しており、今日も溢れかえっているPAで、
現在のカスタマイズカルチャーの広がりを素直に喜ぶ。
スポーツカーと呼ばれる車種に於いてもそのベクトルは全方位に別れており、
見た目には速そうな車が多く駐車されている。
「速い、且つスタイリッシュ」
各々異なるカルチャーとして確立されつつある2つの要素を高次元で融合させる店を探し当て、
足を踏み入れたのは大分前になる。同じような匂いを発するSupraはいるが車体を見れば有る
程度の度合は判ってしまう。
「違う・・・。」
小休止を終えSupra、Zの順で湾岸線に車首を向ける。
『気の遠くなるあの直線に・・・』
大黒を出て軽いカーブの後、右にカーブ。カーブが終わる頃には眼下に合流する湾岸線が見下ろせる。
見下ろした瞬間に状況を把握しなければならない。今晩は・・パイロンが少ない。
全開!!!
2→3→4、タコメーターが壊れているように上昇し、スピードメーターは狂ったように跳ね上がる。
Zは後方・・・やはりSupra有利。
5速・・全開は続く!最悪の場合を常に想定しながら、且つ迷わずアクセルを床まで押し付ける。
6速5000回転、バックミラーで小さくなるZのヘッドライトを確認する。
6000回転、空気が重い、そして小さなギャップで車はどこに飛んでいくか判らない状況・・・。
『熱い』
その時、少しづつ、しかし確実にZのライトが大きくなっているのを確認する。
まだ距離はあるがここまで速いZに驚きを隠せない。
Supraのメーターは300をoverしている。
6800回転、超高速域。
一瞬で1km先のトンネルが目前に迫る。
Zを離すべくアクセルは踏んだまま左足でのブレーキング!
この先から続くセッションでZは必ず追いついてくる。
だから・・・。
「・・・離す!!」
トンネルを右から左まで使って抜ける。
反響するSupraの排気音。
トンネル上部に設置されているランプがゆらゆらとした一本の線になる。
『至福の時』
湾岸環八出口で降りる。乗る前に約束した場所でZを待つが、来ない。
「ここまで離したのか?」
料金を支払い車を路肩に停めて待つが、まだ来ない・・・。
『嫌な予感がする』
あのトンネルには何かある・・去年自分が300kmでスピンした事を思い出す。
突然、回想から現実に引き戻す携帯音…。
「こんな時間に?」
電話に出ると道路公団からであった。
A氏の伝言を伝えてもらう。
指定の場所に行く為に一度大黒PAまで戻り、また湾岸線にのる。
不安を胸に目的地周辺で最左車線を低速走行する。
「路面がおかしい・・。」
80km程度の速度でタイヤがブレる。
「オイル…?」
一つ右の車線にチェンジすると、先程迄いた車線に異物が散乱していた。
「事故か…!?」
しかし外装パーツらしきものは何も見当たらず、金属片のみ確認できた。
「…ブロー…!!」
シルバーのZはその先に静かに、ただ静かに止まっていた。
車体はオイルまみれになっている。
A氏曰く5速8000回転でのアクシデントであったとの事。
『320km内外でのフルブロー』
Zはその超高速時に想像もつかない挙動をしたに違いない。
奇跡的に、いやA氏でなければ命を落としていたかも知れない。
『奇跡の生還』
前述のあるトップはこのブローを勲章と発言した。
A氏本人はどう思っているか知らないが、私も同意見である。
今、5速トップエンドでオーバーレヴブローさせる乗り手がどこにいるだろうか?
寒い冬の熱い夜が終わった。
≪To be continued...≫ |
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