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=第一夜 壱章= 【昂揚】 |
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≪23:17 町田市≫
「今晩でようか・・・・」
チームの大先輩(仮にA氏とする)でもあり、 目標とする乗り手から発せられた一言に携帯を持つ手が小刻みに震える。 電話の主、A氏の愛機はSilverの32Z。 無駄を一切排除したそのノーマル然とした鉄の塊は、A氏の手足となって夜の高速道路を駆け抜ける。 ストリートでの速さを追求し続ける、そのストイックな姿勢に惹かれる者は多く、 私もその1人である事を公言して憚らない。
「最近は湾岸で踏んでいる話もあまり聞かなくなった。」
と某ショップのトップ発言があった通り、 確かに以前よりもその数は、確実に減っている。
楽しみ方は人それぞれ種々様々ではあるが、最近はあまりにも走る為に存在する車が少ないように思うのは、 私だけだろうか・・・。 毎晩狂ったように速い相手を探している自分がいる。 並べた相手が期待通りに速く、歓喜と狂喜が入り交じる時もあれば、 口(くち)スペックのみで落胆と時間を無駄にした事に対する怒りを感じる時もある。
「最近少し属厭気味だな。」
しかしA氏との電話を切った後に全身が感じていたのは・・・
「興奮」
「緊張」
「恐怖」
チーム員との走行は、常に全身全霊を賭ける事になる。 一切の甘えも遠慮も存在しない。 そして、今夜もそうなるであろう事は、想像に難しくなかった。
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=第一夜 弐章= 【始動】 |
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≪23:47 東名横浜インター周辺≫
待ち合わせの場所であるインター周辺の洗車場でA氏を待つ。 分針があと10数分で日付を変えようとしている冬の真夜中。 氏を待つ間に、今夜も傷つき残命を削って走る事になるであろう愛機を点検する。 新調したばかりのフロントバンパーには、飛び石による傷痕が生々しく存在しており、 そのひとつひとつが自分と愛機の歴史であり、また存在を高らかに示すものであった。 点検を終え、無人の洗車場で煙草をやりながら、愛機のフロントに貼られたチームステッカーを確認する・・・ 今夜の狂騒の前に全身が引き締まる。
まさに時計の針が日の境目に入ろうとした時、周囲の空気がわずかに震えた事に気づく。 距離は未だありそうだが、内部までメスを入れた独特の鼓動は、すぐA氏のZである事を認知させる。
スムーズなシフトダウンと共にSilverのZが現れた。
見なれた筈のA氏の32Zであったが、改めて見ると「本物」だけが持つオーラに包まれている事を再認識させられた。 軽く2、3言挨拶をし、A氏も軽い点検を始めた。 氏の点検中、ふと時計を見てみると23:59・・。
電話を切った時点でA氏は御殿場であったはず・・単純な引き算で42分。
御殿場インターまでの時間と、横浜インターから洗車場までの時間を差引くと・・
21、22分・・・!!。
涼し気な顔でエア圧を計っているA氏を改めて畏怖する。
2台は暖気を終え、Z先頭で洗車場を出た。
≪To be continued...≫ |
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